ミニバスを辞めて、しばらく経った。最初はほっとしていたのに、元のチームメイトを見かけた日や、試合の話がふと耳に入った日に、胸のあたりがざわつく。「あのとき、辞めさせなきゃよかったのかな」。子どもがぽつりと「やっぱりバスケやりたいかも」と言った夜なら、なおさらだと思います。
僕は札幌の3拠点(真駒内・南3条・新琴似)で、100名の子どもたちを見ているバスケットボールスクールのコーチです。バスケ歴は27年。13年の会社員生活を経て独立しました。立場としては、辞めていく子を見送る側の人間でもあります。
今日は、辞めた「後」の話です。辞めるかどうかを迷っている段階の話は、辞めたい子と親への記事に書きました。
「続かなかった人」という感覚は、大人にも残る
最初に、僕自身の小さな話をさせてください。
僕は以前、オンライン英会話を始めて、一か月ほどでやめたことがあります。やめた直後は「まあ、仕方ない」と思っていました。でも、心のどこかに「続かなかった人」という感覚が残ったんです。そして、もう一度英語をやろうと思ったとき、その過去が少し邪魔をしました。「どうせまた続かないんじゃないか」と。
ミニバスを辞めた後の後悔も、これに近いものがあると僕は思っています。親が気にしているのは、辞めたこと自体よりも、「この子に“続かなかった”というラベルを貼ってしまったんじゃないか」ということではないでしょうか。
ただ、あとから振り返ると、あの一か月は無駄ではありませんでした。
オンラインだと、自分は続きにくいと分かった
「必要だから」という理由だけでは、熱が長く続かないと分かった
次は、時間と場所を固定したほうがいいと判断できた
止まった経験にも、次の設計に使える情報がちゃんと入っていました。今は時間と場所を決めて、英語のレッスンを続けています。
後悔の中身を、「何がしんどかったか」に分けてみる
辞めた後に後悔が出てきたとき、僕がまずやるのは、当時の「辞めたい」の中身をもう一度見直すことです。
子どもの「辞めたい」の奥には、だいたい四つの理由のどれかがあります。
疲れていた(学校や他の習い事と重なって、量が多すぎた)
比べられてつらかった(周りができて、自分だけできない)
人間関係がしんどかった(コーチや友だちとの間で)
本当に興味が別のものに移った
ここで大事なのは、その理由が「今も残っているか」です。
疲れが理由だったなら、休んだことで体も気持ちも戻ってきて、「またやりたい」が出てくるのは自然なことです。それは辞めた判断が間違っていた証拠ではなく、休んだからこそ戻ってきた気持ちだと僕は受け取ります。
人間関係が理由だったなら、しんどかったのは「その場所」で、バスケそのものではなかったのかもしれない。
興味が本当に移っていたなら、今のざわつきは親の側の「もったいない」が中心かもしれません。
うちも、上の娘の習い事が重なりすぎて、運動教室を一度やめたことがあります。そのときの話は習い事が続かない記事に書きましたが、理由がはっきり「多すぎ」だったので、あとから後悔することはほとんどありませんでした。逆に言えば、理由がぼんやりしたまま辞めたときほど、後悔は長引くのだと思います。
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戻るなら、「同じやり方のまま」は避けたい
子どもが「やっぱりやりたい」と言ったとき、僕が気にしているのは、戻る場所よりも「前と何を変えるか」です。
練習を何日か休んだ選手にも、僕は「またゼロからだね」とは言いません。「前に続かなかった理由を、一つだけ変えてみよう」と考えます。そのほうが、子どもは戻りやすいんです。
一つというのがポイントで、たとえばこんな変え方です。
週の回数を減らして、ほかの習い事と重ならないようにする
チームではなく、スクールのような別の形で始める
試合中心ではなく、練習の楽しさを取り戻すところから入る
僕が会社員を辞めて独立するときにも、似たことを考えました。辞める理由が「目の前の嫌なことから離れたいだけ」なら、別の場所でも同じ問題にぶつかるかもしれない。だから、何がしんどくて、次は何を変えるのかを先に分けておく。子どものバスケでも同じだと思います。前と同じ量、同じ形のまま戻れば、同じところでまた苦しくなる可能性が高い。
そして、戻らないという選択も、もちろんありです。正直に書くと、僕は会社を辞めたことを美談にはしていません。体育館が取れない月も、思うように人が集まらない月もある。それでも「辞めなければよかった」とは思っていない。選んだ道には、選んだ道の大変さがあるだけです。
よくある質問
Q. 子どもが辞めたことを後悔しているようです。何と声をかけていますか?
A. 僕なら、まず「そう思うんだね」と受け止めて、責める言葉も、慰める言葉も急いで足さないようにします。後悔が出てくるのは、それだけバスケが大事だった証拠です。そのうえで「あのとき、何がいちばんしんどかった?」と一緒に振り返ります。答えが出なくても、話せたこと自体に意味があると思っています。
Q. 元のチームに戻るのは気まずくないでしょうか?
A. 気まずさはあって当然だと思います。ただ、受け取る側のコーチとして言うと、一度でも関わってくれた子のことは、辞めた後もずっと気になっているものです。戻る・戻らないとは別に、辞めるときの伝え方については辞める伝え方の記事にまとめています。
Q. 辞めてから何もしていません。このままでいいのでしょうか?
A. しばらく何もしない時間があっても、僕は心配しすぎなくていいと思っています。休んだ時間に、次に何をやりたいかが見えてくることもあります。気になるのは、「どうせ自分は続かない」と子どもが思い込んでしまうことのほうです。その場合は、短い期間で終わる体験会や単発の練習など、「終わりが決まっている挑戦」から始めると、もう一度動き出しやすいと感じています。
まとめ
ミニバスを辞めた後の後悔は、辞めた判断が間違っていた証拠ではありません。
止まった経験にも、次に使える情報が入っている
後悔したら、当時の「辞めたい」の中身と、それが今も残っているかを見直す
戻るなら、続かなかった理由を一つだけ変える
戻らない選択にも、その道なりの大変さがあるだけ
僕が一番避けたいのは、子どもが自分に「続かなかった子」というラベルを貼ってしまうことです。継続は、一度も止まらないことではない。止まったときに自分を責めず、戻り方を作り直せることだと僕は思っています。親が「辞めたことも、ちゃんと経験だったね」と言える家なら、子どもは次の何かを、もう一度始められます。
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