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ミニバスを辞めたい子と親へ。説得より先に僕がしていること

「もうミニバス辞めたい」。子どもにそう言われた時、僕がまず手放したのは「説得すること」でした。送迎も月謝も続けてきた親としては、「もったいない」「逃げ癖がつくのでは」という言葉が先に出そうになりますよね。でも「辞めたい」は結論ではなく、たいてい何かがうまくいっていない信号です。

この記事では、その奥にある4つの理由の見分け方と、親子で期限を区切って決める手順を、スクール生100名を見ている僕の現場から書きます。なお、子どもではなく親のほうが当番や送迎で限界、という「親が辞めたい」の話は、ミニバス、親のほうが辞めたいに分けて書きました。

僕がまず「やめた」のは、すぐに説得すること

結論から言うと、僕がやめたのは「すぐに説得すること」です。

「やめたい」と言われた瞬間に、「頑張れ」「もったいない」「せっかくここまで」と説得を始める。これを、やめました。

なぜか。「やめたい」は、結論じゃないからです。ほとんどの場合、それは結論ではなく、信号なんです。何かがうまくいっていない、というサイン。それなのに、出てきた言葉だけを打ち消そうとすると、奥にある本当の理由に永遠にたどり着けません。それどころか、子どもは「この人には言っても無駄だ」と思って、口を閉じてしまう。

だから僕は、まず説得をやめて、聞くことにしました。「そっか。やめたいんだ。どのへんがしんどい?」——ここから始めます。

「やめたい」の奥を、四つに分解する

「やめたい」の奥には、だいたい、いくつかの違う理由が隠れています。これをごちゃ混ぜにしないで、分けてあげることが大事です。僕は四つに分けて見ています。

一つ目は、「疲れている」。練習や試合、学校、他の習い事。単純にキャパシティを超えている。これは"嫌い"じゃなくて"多すぎ"です。うちも上の子がダンス、そろばん、バスケと動いていて、以前は運動教室にも通っていました。どう見ても多すぎて、本人もいっぱいいっぱいになっていたので、家で話して運動教室は一度やめました。あれは僕の中では「逃げ」ではなく「整理」でした。

二つ目は、「比べられてつらい」。周りができて、自分だけできない。怒られるのが怖い。これは本人の力の問題ではなく、比較の問題です。

三つ目は、「人間関係」。コーチが怖い、友だちと気まずい。プレー以前のところでしんどい。

四つ目は、「本当に、もう興味がない」。心が別のものに向いている。

この四つは、ぜんぶ同じ「やめたい」という言葉で出てくるのに、必要な対応がまるで違います。疲れているなら休ませればいい。比べてつらいなら見る基準を変える。人間関係なら大人が間に入る。本当に興味がないなら——それはまた別の話です。

「向いてない」と決めるのは、まだ早いかもしれない

そして「うちの子は向いてないのでは」という悩みについて。僕の現場感覚を正直に言うと、小学生の段階で「向いてない」が本当に理由だったケースは、ほとんどありません。

消極的に見える子の多くは、能力の問題ではなく、ミスを怒られる環境で萎縮しているだけだったりします。実際、僕のスクールには、前の環境で自信を失っていたのに、失敗を咎められない環境に変わった途端、夢中で練習し始めた子が何人もいます。体の成長のスピードも一人ひとり違う。今できないことは、「向いてない」の証拠にはならないんです。

だからこそ、「向いてないから辞める」と結論づける前に、環境を変える選択肢が残っていないかを見てほしい。チームを変える、スクールを変える、関わり方を変える。それだけで別人のように生き生きし始める子を、僕は何度も見てきました。

「奪われる」と「選び直す」は違う

ここで、僕自身の経験を少しだけ。

僕は23歳でバセドウ病を発症して、自分の意志とは関係なく、大好きなバスケットを続けられなくなった時期があります。選ぶ余地もなく、止まらざるをえなかった。あれは本当につらかった。

その経験があるから、はっきり思うんです。自分で「やめる」かどうかを選べるのは、実はすごく恵まれたことなんだ、と。奪われるのと、選び直すのは、まったく違います。

だから僕は、「やめる」を頭ごなしに悪いことだとは思っていません。ちゃんと中身を見て、本人と話して、そのうえで「一回離れてみよう」と選ぶなら、それも立派な決断です。続けることだけが正解じゃない。自分に合うものを選び直すことにも、大きな価値があります。

問題なのは、やめるかどうかじゃなくて、よく分からないまま、なんとなく逃げるように消えていくこと。それだけは、もったいない。

僕がおすすめしているのは、すぐ説得もせず、すぐやめさせもしない、その間です。まず聞く。奥の理由を分解する。そのうえで、「あと三回だけ行ってみて、それでも同じ気持ちか、もう一回話そう」と小さな期限を区切る。疲れているだけなら、その間に気持ちが戻ることもある。本当に合っていないなら、三回行っても答えは変わりません。大事なのは、その判断を親が一人で下さないこと。子どもと一緒に並べて、一緒に決めることです。

よくある質問

Q. 一度やめさせたら、逃げ癖がつきませんか?

A. 僕は、中身を見ずに続けさせることの方がリスクだと感じています。奥の理由を一緒に分解して、自分の言葉で区切りをつけてやめたなら、それは「逃げ」ではなく「選び直し」の経験になります。逆に、理由をうやむやにしたまま消えるように終わると、何も残りません。やめ方にも、育ちがあります。

Q. 本人が理由を話してくれません。どうすればいいでしょう?

A. 「なんで?」と正面から聞くと、詰問に聞こえて口を閉じてしまう子が多いです。僕は「疲れてる?」「誰かとなんかあった?」と、四つの理由を一つずつ、選択肢として軽く置いてみます。当たった時だけ、子どもは少し話し始めます。

Q. チームの練習が厳しすぎる気がします。移籍は甘えでしょうか?

A. 甘えだとは思いません。環境が合わないだけで、バスケそのものが嫌いになってしまうのは、いちばんもったいないことです。子どもの表情が変わるかどうかを基準に、環境を選び直すことは、親にできる大事なサポートの一つだと僕は考えています。

まとめ

「やめたい」は結論ではなく信号。まず説得をやめて、奥にある理由を四つに分解する。「向いてない」と決める前に、環境を変える余地がないかを見る。そして、続けるにしても、やめるにしても、子ども自身が選ぶこと。

「やめる・続ける」を自分で選んだ経験は、それ自体が大きな育ちになります。そして、「やめたい」と親に言えたこと自体が、実はいい親子関係のサインです。焦らなくて大丈夫。一緒に、奥を見にいくところから始めてみてください。

「やめたい」と言われた時、奥の理由を一緒に分解する聞き方は、慣れないと難しいものです。僕が現場で使っている『声かけチェックリスト30』を公式LINEで無料でお渡ししています。子どもが本音を話しやすくなる聞き方も、その中に入っています。

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この話は、Kindle『ミニバス保護者の教科書』の第15章「『辞めたい』と言われた時、僕がやめたこと」で、僕の家の「運動教室をやめた話」も含めて詳しく書いています → Kindleで読む

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この記事の話を、1冊にまとめました

『ミニバス保護者の教科書——ミスを恐れず、試合で自分から仕掛ける子になる』。試合後の声かけ、辞めたい、補欠、比較、環境選び。ミニバス保護者の悩みに答えた全5部25章です。

札幌の方へ

記事を書いた僕が、札幌でバスケスクールをやっています

札幌のバスケスクール「レジリエントフープ」——真駒内・南3条・新琴似の3拠点、小1〜高校生。ミスを恐れず、試合で自分から仕掛ける子になる——を約束に、加点主義で教えています。無料体験会は随時受付中です。

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