RYOTA SUKEGAWA挑戦育成

発信 — ONE STEP FORWARD

バスケで急にやる気がなくなった子は、だいたい急じゃない

先週まで、帰ってくるなり玄関でボールをついていた子が、今週は「今日、休みたい」と言う。「何かあったの?」と聞いても「別に」。直前まであんなに好きだったのに、スイッチが切れたみたいに見える。そんな保護者の方に向けて書きます。

僕は札幌の3拠点(真駒内・南3条・新琴似)で、100名の子どもたちを見ているバスケットボールスクールのコーチです。バスケ歴は27年になります。

先に僕の見方を言うと、「急にやる気がなくなった」は、だいたい急ではありません。その前に小さなサインが出ていて、やる気の燃料がどこから来ていたかが関係していることが多い。今日はその2つと、練習と家で何をしているかを書きます。

「急に」の前に、出ていたサイン

スクールを運営していると、辞めていく子を見送る場面もあります。そこで気づいたのは、退会は、ある日突然起こるように見えて、実はその前に小さなサインが出ていることが多い、ということでした。

欠席が増える。保護者の方からの返信が遅くなる。練習中の表情が重くなる。子どもとの会話が減る。目標が見えなくなる。他の習い事や学校の活動との優先順位が変わる。

どれも一つひとつは小さくて、「疲れてるのかな」で流せるものばかりです。だから僕は、練習で見ているものを上達だけにしないようにしています。表情、声の出方、取り組む姿勢、仲間との関わり、そして失敗した後の反応。ここが変わると、技術より先に気づけます。

家でも同じです。「急に」と感じた日から2〜3週間さかのぼると、「練習の日の朝、支度が遅かった」「試合の話をしなくなっていた」と思い当たることが出てきます。急に見えるのは、サインが小さかったからで、なかったわけではありません。

これは、親御さんが見逃していた、という話ではないです。好きでやっている子ほど、「好きだから大丈夫」と周りが安心してしまう。僕もそうです。

やる気の燃料が、外にあった可能性

もう一つ、僕が考えるのは「その子のやる気は、どこから来ていたか」です。

海外で指導してきたコーチを招いたキャンプに帯同しました。始まる前、日本だと大人が「さあ、元気出していこう」と盛り上げにいくことが多いですよね。でも彼らは最初のひと言でこう言いました。「モチベーションは、我々が上げるんじゃない。自分たちで保つように」。

その瞬間、子どもたちの背筋が伸びたのを覚えています。やる気は君たち自身のものだ、と最初に渡されたからです。

大人が上げてあげること自体は、愛情です。ただ、上げ続けることが、いつのまにか自分で保つ力を奪っていることもある。

直前まで好きだった子のやる気が、新しいことが次々できる面白さや、褒められること、大人の盛り上げで走っていたとしたら。それが一段落した時、外から見ると「急に」なくなったように見えます。でも、好きが消えたのではなく、外付けの燃料が切れただけ、ということが結構あるんです。

練習で僕がやっているのは、「自分で考えて」を増やすこと

だから僕は、練習の中で正解を一つだけ渡すメニューを減らしています。

ハンドリングの練習では、こう言っています。「レッグでもいいし、バックでもいいし、なんでもオッケーだから、同じのを2回続けない。必ず変えて、自分で考えて」。1対1の練習では、「普通に1、2って打つのは禁止。自分で考えて」。別の日には「自分が苦手なやつでもいいし、得意なやつでもいいから」。

言われた通りになぞるだけのメニューだと、子どもは「こなす」側に回り、やる気を自分で保つ筋肉が育ちません。選ぶ余地を残すと、同じドリルでも目の色が変わります。

キャンプから持ち帰ったこともあります。練習の前に「今日、何のためにこれをやるか分かる人?」と聞くようになりました。そして、盛り上げすぎず、子どもが自分でスイッチを入れる時間を、あえて待つようになりました。

技術だけでは、ここは変わりません。どれだけ上手いステップを教えても、「やらされている」場所ではやる気は外付けのままです。変えられるのは、選ばせる環境と、かける言葉の方だと思っています。

家では、上げようとしない

では家でどうするか。僕がおすすめしているのは、「上げようとしないこと」です。

僕自身、子どもの頃、何でもすぐに話すタイプではありませんでした。試合の帰り道も、自分からたくさん話すことはなかった。親は、そこで無理に答えを求めませんでした。「あそこがダメだった」と言われた記憶もほとんどなくて、残っているのは「よく走っていたね」のような言葉です。急かされなかったから、自分の中で試合を整理する時間がありました。あの時、急かされていたらどうだっただろうと思います。

「何かあったの?」を何度も聞かないこと。「別に」は拒否ではなく、まだ言葉にできていないだけのことがよくあります。疲れている、悔しさが強い、まだ話したくない。そういう日はバスケの話をせず「お疲れさま」で終わる。声をかけない方がいい日もあると思っています。

そのうえで、一つだけやっているのは、選択を本人に渡すことです。「今日は行くか休むか、自分で決めていいよ」。行くと決めても休むと決めても、それは大人が上げたものではなく、本人のものです。

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よくある質問

Q. 「別に」としか言いません。理由を聞き出した方がいいですか。

A. 僕なら、聞き出すより観察に切り替えます。家で分からなければ、コーチに聞くのも一つです。その時は「やる気はありますか」より、「どの場面で止まって見えますか」と聞くと、コーチも具体的に答えやすいです。やる気がないように見える子の中身は一つではないので、そちらの記事も参考になると思います。

Q. 休ませると、癖になりませんか。

A. 本人が決めて休んだ1回は、癖というより判断だと僕は見ています。ただ、欠席が何週も続く時は、休みそのものより、表情や会話の減り方など他のサインとセットで見ます。その時は、練習に行きたくない朝の記事に書いた見分け方が使えると思います。

Q. コーチが変わってから、急にやる気がなくなりました。

A. ありえると思います。環境が変わると、やる気の燃料の出どころも変わるからです。前のコーチの盛り上げで走っていた子は、その燃料が急になくなる。これは子どもの問題ではなく、環境の切り替わりの問題です。それでも戻らず、バスケ自体を嫌がるようになった時は、嫌いになった時の記事に書いた順番が参考になると思います。

まとめ

「急にやる気がなくなった」は、だいたい急ではありません。その前に小さなサインがあって、やる気の燃料が外にあった分だけ、切れた時に急に見えます。

だから僕は、練習では「自分で考えて」を増やして、家では上げようとしない。やる気は、大人が上げるものではなく、その子自身のものだと思っているからです。

直前まで好きだった子の「好き」は、そう簡単には消えません。外付けの燃料が切れただけなら、自分で入れるスイッチを本人に渡した時に、また動き出します。そのスイッチを信じて、一度渡してみる。僕はそこから始めています。


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記事を書いた僕が、札幌でバスケスクールをやっています

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