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バスケの試合で泣く小学生。悔しさを僕が止めない理由

試合が終わった。コートの端で、我が子が泣いている。負けた悔しさなのか、自分のミスなのか、出番が短かったからなのか、本人に聞いてもまだ答えられない。周りの保護者の目も気になって、「もう泣かないの」と言いたくなる。でも言った後で、それでよかったのかと思う。逆に、負けても泣かない我が子を見て「悔しくないのかな」と心配になる親御さんもいます。

僕は札幌で100名の子どもたちを指導しているバスケットボールスクールのコーチで、バスケ歴は27年です。試合で泣く子も、泣かない子も、たくさん見てきました。そして自分自身も、負けた試合のあとに同じ場面を何度も頭の中で繰り返してきた人間です。今日は、泣いている子を前にして僕が何をして、何をしないかを書きます。

泣くのは、悪いことじゃない

先に僕の結論を言うと、僕は子どもの悔しさを止めません。

悔しいものは悔しい。泣きたいなら泣いてもいい。少し黙っていたいなら、それでもいい。僕はそう思っています。悔しくて泣けるのは、その試合に本気だった証拠です。どうでもいい試合で泣く子はいません。

僕自身、大学時代も3x3でプレーしていた時も、負けた後は同じでした。あのパスを出さなければ。あそこでシュートを決めていれば。あの守備で抜かれなければ。自分のせいで負けたんじゃないか。そうやって何度も自分を責めました。でも、自分を何度責めても、次のプレーが具体的に変わるわけではなかった。ここが大事なところで、感情を消す必要はないけれど、感情だけの中にずっといると、次の練習にはつながらないんです。

だから僕が考えているのは、泣くか泣かないかではなく、順番です。

泣いている最中に、僕が言わないこと

試合の直後、特に大事な試合であるほど、子どもは誰とも話したくないし、ミスした場面を思い出したくない状態にいます。

そこで周りの大人がいきなり、「何が悪かったと思う?」「なんであそこで打たなかったの?」と聞いても、言葉が出ない子はいます。考えていないからではありません。まだ、考えられる状態になっていないんです。

僕はこの状態を、心の温度で見るようにしています。熱すぎるなら、少し待つ。泣いている子は、温度が高い。この時に理由を聞いたり、「泣いてても仕方ないでしょ」と正論を置いたりしても、入る場所がありません。だから僕は、泣いている最中は何も言わないことが多いです。隣にいる。水を渡す。それくらいです。

「泣かないの」も言いません。泣くのをやめさせることと、立ち直ることは、別のことだからです。泣くのを止めても、悔しさは消えていない。行き場をなくして中に残るだけです。

落ち着いてから、事実を一つだけ見る

少し時間が経って気持ちが落ち着いたら、そこで初めて振り返ります。僕の順番はこうです。

まず、感情があることを認める。「悔しかったね」でいい。次に、少し時間を置く。帰り道でなくても、ご飯を食べてからでも、翌日でもいい。そのあとで、起きた事実を一つだけ見る。

一つだけ、というのが大事です。「どの場面がいちばん悔しかった?」と聞くと、子どもはたいてい一つの場面を言います。「第4クォーターのパスミス」とか、「最後のシュート」とか。そこで「じゃあ次に同じ場面が来たら、何を一つ変える?」まで行けたら十分で、全部を反省する必要はありません。書いて整理する方法は三行ノートの記事に書いたので、ここでは繰り返しません。

すぐに元気になることと、立ち直ることは同じではありません。立ち直るというのは、今の感情を無理に変えることではなくて、次に自分が選べる行動を見つけることだと、僕は思っています。泣いた後にその一つが見つかった子は、次の練習に自分の足で行けます。

泣かない子の方を、僕は少し気にして見る

逆のケースも書いておきます。負けても泣かない、悔しそうにも見えない子です。

泣く子は、悔しさが外に出ています。温度が高いだけで、中に火はある。僕が少し気にして見るのは、悔しさを外に出せなくなっている子の方です。「別に」「普通」で終わる子。負けても表情が変わらない子。冷めているように見える時、本当に悔しくないこともあれば、悔しがっても意味がないと学んでしまっていることもあります。

心の温度が冷めすぎているなら、少しあたためる。「楽しかった場面、一つある?」「あの場面、挑戦してたね」。評価でも結果でもなく、その子がコートでやったことを一つ拾う。それで火がまだあるかどうかが、少しわかります。

保護者の方に伝えたいのは、泣く子が手がかかって、泣かない子が手がかからない、という話ではないということです。どちらも中を見る必要があって、見る方法が違うだけです。

親の方が、熱くなってしまう時

最後に、親の側の話を。子どもが泣いていると、親の温度も上がります。僕も親なので、その気持ちはよくわかります。見ていられなくて、何か言いたくなる。早く立ち直らせたくなる。周りの目もある。

でも、親が熱いまま子どもに言葉をかけると、熱と熱がぶつかります。「なんで泣くの」「そんなことで泣いてたらダメ」と言ってしまった帰り道を、後悔した経験がある方も多いと思います。

僕がやっているのは、自分の温度を先に見ることです。子どもの心の温度を見に行く前に、自分が熱すぎないか。熱いなら、僕も少し待つ。コンビニに寄る。黙って運転する。それで十分なことが、本当に多いです。

よくある質問

Q. 泣いていると周りに迷惑がかかる気がします。やめさせた方がいいですか?

A. 僕は、コート上で泣いている子を見ても迷惑だとは思いません。むしろ本気だったんだなと思います。周りの目が気になる時は、場所だけ変えるといいと思います。「あっちで座ろうか」と、泣くのをやめさせるのではなく、泣ける場所に移す。それだけで子どもも親も少し楽になります。

Q. 負けたのに泣かないのは、悔しくないからでしょうか?

A. そうとは限りません。悔しさの出し方は子どもによって全然違いますし、悔しさを出すと余計につらいと学んでしまっている子もいます。僕は泣かない子には、結果に触れずに「楽しかった場面、一つある?」と聞きます。答えが返ってくれば、火はあります。

Q. 泣いている時、抱きしめた方がいいですか? 放っておいた方がいいですか?

A. その子によります。触れられたくない子もいれば、隣にいてほしい子もいる。僕は本人が求めてきたら応じて、求めてこなければ隣にいるだけにしています。どちらにしても「一人にはしない」が共通です。

まとめ

試合で泣く子を前にして、僕がやっているのは三つです。泣いている最中は止めない。理由を聞かない。落ち着いてから、事実を一つだけ一緒に見る。順番さえ間違えなければ、泣くことは次の練習につながります。

立ち直るとは、元の元気な状態に戻ることではありません。悔しさを経て、次に自分が選べる行動を一つ見つけること。それができる子は、負けるたびに少しずつ強くなっていきます。泣いた回数は、その子が本気で挑戦した回数です。僕はそう思って、コートの端で泣いている子の隣に座っています。

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