練習の日なのに準備をしない。試合でもどこか動きが小さい。「うちの子、ミニバスのやる気がないんです」という相談は、札幌でバスケットボールスクールを運営していて、受けない月はありません。好きで始めたはずなのに、と不安になりますよね。
先に僕の考えを言うと、その姿は「やる気がない」のではないことが多いです。ミスの気持ちがまだ整理できていない。うまくできない自分が恥ずかしい。周りと比べて固まっている。ただ疲れている。外からは同じに見えても、必要な関わりはそれぞれ違います。
この記事では、100名の子どもたちを見てきた中で僕が「頑張れ」より先に見ていることと、結果より本人が自分で決められる部分に目を向ける家での関わり方を、小2の娘を持つ親としての失敗も含めて書きます。
その姿は、「やる気がない」じゃないかもしれない
まず、僕が現場で何度も経験してきたことから話させてください。
練習後に黙っている子。試合で消極的に見える子。大人はその姿を見て「やる気がない」と判断しがちです。でも、近くで見ていると、その沈黙や停滞の奥には、まったく別のものがあることが多いんです。
ミスをして、まだ気持ちの整理がついていないだけの子。うまくできない自分が恥ずかしくて、動きが小さくなっている子。周りと比べて「自分は下手だ」と思い込んで、固まっている子。疲れがたまって、単純にエネルギーが切れている子。
全部、外から見ると「やる気がない」に見えます。でも、必要な関わりはそれぞれ違う。だからこそ僕は、「やる気がない」という言葉で判断する前に、その子に何が起きているのかを見るようにしています。
「やる気を出しなさい」という言葉が効かないのは、子どもが怠けているからではなく、そもそも診断が違うからかもしれない。僕はそう思っています。
結果だけを見られると、心はしぼんでいく
もう一つ、やる気が見えなくなる大きな理由があります。「結果を出さないと、認めてもらえない」と子どもが感じ始めた時です。
新しいことは、最初はうまくいかないのが普通です。むずかしいことに挑戦すれば、失敗も増える。でも、失敗すると褒めてもらえないなら、いっそ、できることだけ無難にやっておいた方がいい。そうやって、心が縮こまっていくんです。
しかも結果は、自分だけでは決められません。相手もいるし、その日の調子もある。自分でどうにもできないもので評価され続けると、子どもはただ不安になります。
僕自身、つい結果を褒めてしまう親です。娘のダンスの発表会で、真っ先に「上手だったね!」と言ってしまったことがあります。でもその夜、寝顔を見ながら思ったんです。あの子が一番がんばったのは、上手に踊れたことじゃない。緊張して足がすくんでも、舞台に立って最後まで踊りきったことだった、と。
「今日、最後まで頑張ったこと」「あきらめなかったこと」は、結果と違って自分で決められます。そこを見てもらえた子は、また前を向けます。やる気が見えない時期こそ、結果ではなく、その子が自分で決められる部分に光を当てる。僕はそう心がけています。
「できた」の瞬間が、やる気の燃料になる
そもそも、バスケの楽しさって何だろうと考えると、僕は勝ち負けよりも「あ、今の、できた」という小さな瞬間だと思っています。何十年やってきて、正直、点を取った時よりいいパスが通った時の方がうれしかったりします。
そしてバスケは、すぐにはうまくならないスポーツです。何ヶ月も同じことができなくて、もがく時期が必ずある。でも、ある日ふっとできるようになる瞬間が来る。あの喜びが大きいのは、できない時期があったからなんですよね。
つまり、やる気がないように見える時期は、「できない時期」のトンネルの中にいるだけのことも多いんです。トンネルの中にいる子に「やる気を出せ」と言っても、出口は近づきません。それより、小さな「できた」を一緒に見つけてあげる方が、ずっと効きます。
「今の、前より良くなってたね」「その動き、先週はできてなかったよね」。僕がスクールで意識しているのは、こういう即時で具体的な承認です。小さな「できた」が一つ見つかると、子どもの表情は本当に変わります。やる気は、注意して出させるものではなく、「できた」の実感から自然に湧いてくるもの。それが僕の実感です。
僕が家庭でやっている関わり方
じゃあ家で何ができるか。僕がやっているのは、シンプルなことだけです。
一つは、バスケの話を無理に聞き出さないこと。話したくなった時に話せる空気だけ残しておく。もう一つは、本人が話し始めたら、アドバイスより先に最後まで聞くこと。そして、頑張りに気づいたら、結果と切り離して言葉にすること。「今日、疲れてたのに行ったんだね」でも十分です。
逆にやらないと決めているのは、他の子との比較と、「せっかくやらせてるのに」という言葉です。これは自分への戒めでもあります。親の期待が大きいほど出やすい言葉ですが、子どものやる気の火を一番消しやすい言葉でもあると感じています。
よくある質問
Q. やる気がない状態が何ヶ月も続いています。辞めさせた方がいいのでしょうか?
A. 「やる気がない」と「もう興味がない」は別物だと僕は考えています。疲れや自信の低下なら、環境や関わり方で戻ることが多いです。ただ、心が完全に別のものに向かっているなら、それも一つのサインです。まずは「どのへんがしんどい?」と、奥にある理由を聞いてみることをおすすめします。
Q. 練習は嫌がるのに、試合や遊びのバスケは楽しそうです。どういうことでしょう?
A. バスケが嫌いになったのではなく、「練習の何か」がしんどい可能性が高いです。怒られる、比べられる、できない自分を見せたくない。楽しめる場面が残っているのは、むしろ良い材料だと僕は捉えます。
Q. 親が褒めても「別に」としか返ってきません。意味がないのでしょうか?
A. 反応が薄くても、届いていないとは限りません。特に高学年になると、素直に喜べない時期もあります。僕は反応を求めずに言葉だけ置く、を続けています。効果を確かめようとしないことが、続けるコツだと思います。
まとめ
「やる気がない」に見える姿の奥には、整理中の感情、自信の低下、できない時期のトンネル、単純な疲れ——いろんな中身があります。だからこそ、やる気そのものを出させようとするより、中身を見にいく方が近道です。
そして、やる気の燃料は「できた」の実感と、それを見てくれる人の存在です。バスケは本来、小さな「できた」が積み重なっていく、めちゃくちゃ面白い競技です。その面白さに子どもがもう一度出会えるように、僕ら大人は焦らず、楽しさの側に立って待っていたい。僕はそう思っています。
やる気が見えない時期の子どもへの声かけは、本当に難しいものです。僕が現場で使っている『声かけチェックリスト30』を公式LINEで無料でお渡ししています。今日の「結果と切り離した承認」の具体例も入っています。
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