練習の前、何か食べさせた方がいいのか。練習後、夕飯まで持たない時は何を渡せばいいのか。「補食」という言葉は聞くけれど、結局何がいいのか分からない。ミニバス保護者の方から、食事の質問は年々増えています。
僕は札幌でバスケットボールスクールを運営していて、100名の子どもたちに関わっています。あまり言ってこなかったんですが、実は僕、「アスリートフードマイスター」というアスリートの食事の資格を持っています。まあ、3級なんですけどね。今日はその知識と、僕自身の食の失敗談を混ぜながら、補食と食事の話をします。
食事は「材料」。トレーニングだけでは体は作れない
体づくりというと、みんな練習やトレーニングを想像すると思うんです。もちろん大事。でも、同じくらい——下手したらそれ以上に大事なのが、食事です。
どんなに追い込んでも、材料がなかったら体は作れません。練習はあくまで「刺激」。その刺激で使われた体を作り直す「材料」が食事です。ちゃんと食べていないと、体は大きくなるどころか削れていく。当たり前のことなんですけど、これ、大人も子どもも忘れがちなんですよね。
そして、よく動く子ほど、朝昼晩の3食だけではエネルギーが足りないことがあります。そこを埋めるのが補食です。補食はお菓子の時間ではなく、「4食目・5食目の小さいごはん」。ここの位置づけを変えるだけで、選ぶものが変わってきます。
タンパク質「だけ」じゃ、ダメなんです
体づくりというと「とにかくタンパク質!」となりがちですが、実はそれだけではダメなんです。
例えば糖質。ごはんとかパンとか。ダイエットの文脈では悪者にされがちですけど、糖質は体を動かす大事なエネルギー源です。これが足りないと、体はエネルギーを作るために筋肉を分解してしまうと言われています。せっかくタンパク質を摂っても、糖質が足りないと逆効果になりかねない。だから、タンパク質と糖質はセットで摂るのが基本です。
あとは、ビタミンやミネラル。地味だけど、体の調子を整えたり、疲れの回復や骨づくりを支えたりする役割があると言われています。野菜、果物、乳製品。結局、主食・主菜・副菜をまんべんなく、というバランスに戻ってくるんです。「一つの栄養だけたくさん」じゃなく、まんべんなく。体って、うまくできているんですよ。
もう一つ、資格の勉強でなるほどと思ったのが、「何を食べるか」だけじゃなく「いつ食べるか」も大事だということ。運動した後、あまり時間を空けずに栄養を入れると、回復の面でいいとされています。だから練習後の補食は、「夕飯が遅くなる日のつなぎ」以上の意味があるんです。
我が家の実例と、僕の失敗談
具体的に何を渡すか。僕がよく挙げるのは、おにぎり、バナナ、ヨーグルト、牛乳あたりです。特別なものはいりません。練習前は消化に負担が少ないもの、練習後はおにぎり+タンパク質系(牛乳・ヨーグルト・サラダチキンなど)の組み合わせが定番です。菓子パン一個で済ませていたところを、おにぎりとサラダチキンに変える。それだけで中身はだいぶ変わります。
偉そうに書いていますが、僕自身の食生活はツッコミどころ満載でして。朝はバタバタして抜きがち。せめて好きな納豆とごはんだけは食べるようにしています。夜は妻が栄養を考えた料理を作ってくれるので心配ないんですが、問題は夜のポテチです。
体づくりにいちばんいらないやつだと分かっているのに、つまんでしまう日がある。せっかくいい夕飯のあとにポテチを食べていたら台無しじゃないですか。だから今は、口がさみしい時はナッツやヨーグルトに置き換える、という地味な戦いをしています。
何が言いたいかというと、資格を持っている僕でも完璧にはできない、ということです。だから子どもの食事も、完璧じゃなくて80点でいい。続けられることがいちばん大事です。
大会の日は、「小分け」で考える
補食がいちばん力を発揮するのが、大会の日です。朝が早くて、試合の時間が読めなくて、お昼をゆっくり食べられない。あの独特の一日は、3食の枠で考えるとうまくいきません。
僕のおすすめは、最初から「小分け」で設計することです。試合と試合の間に、おにぎり半分、バナナ、ゼリー飲料。一気にお弁当を食べるのではなく、隙間ごとに少しずつ入れる。直前におなかいっぱいだと動けませんし、空っぽのまま試合が続くと、後半に足が止まります。動く日ほど、ちょこちょこ補給です。
それと、夏場は食欲そのものが落ちる子が多い。無理に量を食べさせるより、食べやすい形(おにぎりを小さくする、果物を入れる、冷たい麺に具をのせる)に変える工夫の方が効きます。水分補給とあわせて、「食べられる形で、こまめに」。会場への持ち物が変わるだけで、その日のパフォーマンスの波は、けっこう変わるものです。
よくある質問
Q. 練習の何分前に補食を食べさせればいいですか?
A. 消化の速さは食べ物にも子どもにもよるので、断定はしません。目安として、練習直前におなかいっぱいになるのは避けて、少し時間の余裕を持って軽いものを、というのが基本の考え方です。バナナやゼリー飲料のような消化しやすいものから試して、その子に合うリズムを見つけてください。
Q. 食が細くて、3食すら食べきれません。
A. 無理に一度にたくさん食べさせるより、回数を分ける方が向いている子もいます。3食+補食2回で、1回あたりを軽くする形です。「残さず食べなさい」が食事を嫌いにさせてしまうのがいちばんもったいないので、食べること自体が楽しい状態を守るのを優先したいです。
Q. 小学生にプロテインは必要ですか?
A. 僕は、まず食事から、が基本だと思っています。成長期に必要な栄養は、普段の食事と補食で摂るのが土台。その上でどうしても足りない時にどう補うかは、体格も運動量も一人ひとり違うので、一律には言えません。迷う場合は専門家に相談するのが確実です。ちなみに僕自身は、足りないタンパク質をプロテインで補っています。昔は粉っぽくて苦手だったんですが、最近のは驚くほど美味しくなりました。
まとめ
補食は、特別な栄養食品を揃えることではなく、おにぎりとバナナから始められる「小さい4食目」です。タンパク質だけに偏らず、糖質とセットで。何を食べるかと、いつ食べるか。そして、完璧より80点を続けること。
食べることは、体づくりであると同時に、自分を大事にすることを覚える練習でもあると思っています。まずは今日の練習帰り、菓子パンをおにぎりに変えるところから、どうでしょうか。
食事や休養も含めた「バスケを頑張る子の土台」の話は、ポッドキャスト「ONE STEP FORWARD」でも平日毎朝配信しています。
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