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子どものスポーツに向き不向きはある?僕が「まだ決めない」理由

「うちの子、バスケに向いていないんじゃないでしょうか」。背が伸びない、足が速くない、運動神経が良さそうに見えない。周りの子と比べて、そんな不安を口にする保護者の方は少なくありません。向いていないなら、早めに別の道を探してあげた方が本人のためなんじゃないか、と。

僕は札幌でバスケットボールスクールを運営していて、100名の子どもたちに関わっています。バスケ歴は27年。今日の結論を先に言うと、僕は「小学生の段階で向き不向きを判定するのは、早すぎるし、だいたい外れる」と思っています。これは慰めではなく、現場と自分の経験から本気でそう思っています。

小学生の「向いてる」は、ほとんど早生まれと早熟の話

まず、身も蓋もない話からします。小学生の時点で「向いている」と見える子の多くは、才能ではなく、体の成長が早いだけ、ということがよくあります。

同じ学年でも、生まれ月で最大約1年、体の発達には差があります。さらに成長期のタイミングは人それぞれ。小学生で大きくて速い子が、中学で追いつかれ、あの頃目立たなかった子が高校で伸びる。この入れ替わりを、僕は何度も見てきました。

つまり、小学生の「できる・できない」は、その子の最終的な適性をほとんど反映していません。ここで大人が「向いていない」と判定してしまうことの方が、よほどリスクが大きいんです。判定された子は、伸びる前にやめてしまうからです。

シュートが下手だった僕に、居場所があった

それから、「向き不向き」という言葉には、もう一つ見落としがあります。一つの競技の中にも、いろんな戦い方があるということです。

僕は中学の頃、シュートが全然うまくありませんでした。「バスケに向いていない」と言われたら、そうかもしれなかった。でも僕は、点を取る以外の道を見つけました。リバウンド、ルーズボール、ディフェンス。誰よりも泥臭くやることで、コートに居場所ができた。シュートという物差しでは向いていなかった僕も、別の物差しでは戦えたんです。

バスケには、シュートのうまさ以外にも、走力、読み、粘り強さ、味方を活かす目、いろんな物差しがあります。他のスポーツも同じだと思います。一本の物差しで「向いていない」と決めるのは、その子の他の物差しをまだ見ていないだけかもしれません。

世界のトップは、絞らずに育っている

「向いているものを早く見つけて、早く絞った方が伸びる」というイメージも、実は世界の育成の流れとは逆です。

NBAのレブロン・ジェームズは、高校時代アメフトでも全米で評価されるレシーバーでした。アメフトのトップ選手を調べた調査では、9割近くが高校時代に複数の競技をやっていた、というデータもあります。いろんなスポーツで、走る・跳ぶ・投げる・止まるという動きの土台を広げた選手の方が、あとから専門技術を乗せた時にぐっと伸びて、怪我も少ない傾向がある。

だから、今やっているスポーツで目立てていないことは、「向いていない」の証拠ではなく、まだ土台を作っている途中だというだけのことが多い。僕自身、いろんな運動をしてきた経験と、怪我をたくさんしてきた経験の両方から、土台の大切さは痛いほど分かっています。

僕が唯一見ている「向いているサイン」

じゃあ、何も判断しなくていいのか。一つだけ、僕が見ているサインがあります。それは、その子が「もう一回やりたがるか」です。

うまくできなくても、負けても、「もう一回」と言う。試合の帰りに、ああすればよかったと自分から話す。うまい子の真似を勝手に始める。この「もう一回」が出ているなら、今の実力がどうであれ、その子とそのスポーツの相性は良い。夢中は、才能の最初の形だからです。

逆に、大人の期待に応えるためだけに通っていて、「もう一回」が全く出てこないなら、種目を変えることも選択肢だと思います。向き不向きは、体格や成績ではなく、心が動いているかどうかで見る。それが、100名を見てきた僕の今の答えです。

よくある質問

Q. 体が小さいので、バスケは不利ではないですか?

A. 身長が武器になるスポーツであることは事実です。ただ、小柄でも世界で戦う選手は現実にいますし、小さい選手は速さ・低さ・スタミナという別の武器を磨けます。それに小学生の身長で将来の身長は分かりません。「小さいから無理」と大人が先に決めないことが、いちばん大事です。

Q. 運動自体が苦手そうです。スポーツをやらせる意味はありますか?

A. あると思います。スポーツの価値は、上手くなることだけではありません。挑戦して、失敗して、立ち直る練習ができる場所です。競技志向の強い環境が合わないなら、楽しむことを大事にする環境を選べばいい。苦手な子ほど、「できた」が増えた時の変化は大きいです。

Q. 親としては別の競技の方が向いていると感じます。転向を勧めるべきですか?

A. 選択肢を見せることは良いと思います。体験に連れて行って、本人の反応を見る。ただ、最後に選ぶのは本人であってほしいです。親が決めた転向は、うまくいかなかった時に「親のせい」になります。本人が選んだ道は、うまくいかなくても本人の糧になります。

まとめ

小学生の向き不向きは、大人が思っているより、ずっと当てになりません。体の成長は入れ替わるし、競技の中には複数の物差しがあるし、土台を広げている途中の子は、まだ本領を見せていないだけかもしれない。

だから僕は、まだ決めません。決める代わりに、「もう一回やりたがっているか」だけを見ています。心が動いているなら、その子は今、ちゃんと育っている最中です。その時間を、大人の判定で打ち切らないであげてほしいと思っています。

向いているかどうかは、いつか本人が、自分の歩いた道を振り返って決めることです。親にできるのは、その道を早く閉じないことと、歩いている今日を面白がってあげることなんだと思います。

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