「小学生におすすめの自主練メニューを教えてください」。札幌でバスケットボールスクールを運営している僕が、保護者の方からよく受ける質問です。検索すれば、メニューはいくらでも出てきますよね。ハンドリング10分、ドリブル10分、シュート100本……。
でも、100名の子どもたちを見てきて、はっきり言えることがあります。自主練が続かない子は、メニューを知らないから続かないのではありません。そして、伸びる子の自主練は、メニューの豪華さではなく、設計が違います。今日はその話です。
メニューより先に「一つ持ち帰る」を決める
僕のスクールは週1回です。だから僕は、その60分で完結させようとは思っていません。バスケはハビットスポーツ——反復によって習慣を作るスポーツです。スクールで一度できたことも、日常で繰り返されなければ、試合で自然に出るプレーにはなりません。
そこで僕が大事にしているのが、「今日、一つだけ持って帰るなら何?」という問いです。練習の終わりに、その日の学びを一つ、本人の言葉にしてもらう。「キャッチする前にリングとディフェンスを見る」「ミスした後に止まらず次のプレーへ移る」。それくらい具体的な一つです。
自主練は、この「持ち帰った一つ」を試す時間にすると、まったく別物になります。ただメニューをこなす30分と、「今週はキャッチの前に顔を上げる」を確かめる30分。同じ内容でも、後者の子は自分の変化に気づけるので、面白くなって続くんです。
メニューはシンプルでいい
そのうえで、聞かれた時に僕が答えている基本の組み立ては、とてもシンプルです。
最初に、ハンドリング。ボールを体の周りで回す、股の下で8の字、指先で弾く。ボールが手に馴染む時間で、ウォーミングアップも兼ねます。次に、ドリブル。ここで大事なのは回数より質で、ミスしないように弱く突くのではなく、多少ボールが逃げてもいいから、試合で使う強さで突くこと。最後に、シュート。近い距離から、いい体勢で打つことを優先します。
時間は、合計で20〜30分もあれば十分です。それより大事なのは、そのどこかに「今週の一つ」を混ぜること。ドリブルの日なら「顔を上げる」を、シュートの日なら「膝を使う」を。テーマが一つあると、練習が「作業」から「実験」に変わります。
量は、あとから効いてくる
質の話をしましたが、量の価値も正直に話しておきます。
僕は中学・高校の頃、朝練でも自主練でも、とにかくひたすらシュートを打っていました。大学でも、オフの日に体育館へ行って、授業の合間にも打った。その量が技術になったのはもちろんですが、それ以上に、試合で入らない時期の「心の支え」になりました。「これだけ打ったんだから」と思える。準備の量は、お守りみたいに効くんです。
ただし、これは本人が「うまくなりたい」と思って積んだ量の話です。親に言われて嫌々こなした100本は、技術にはなっても、お守りにはなりません。だから量を求める前に、本人の中に「試したいこと」がある状態を作る。順番はやっぱり、質というか、目的が先だと思っています。
親は「メニュー係」より「聞き役」がいい
自主練に親がどう関わるか。バスケ経験のある方ほど、メニューを組んで、隣で指導したくなると思います。その熱意は素敵なんですが、僕は少し違う役割をおすすめしています。
それは、聞き役です。「今日は何を試したの?」「で、どうだった?」「次はどうしたい?」。正解を教えなくていい。本人が自分の言葉で振り返る手伝いだけをする。自分の判断を言葉にできる子は、次の練習を自分で修正できるようになります。これが、教えられた通りにやる子との、いちばん大きな差になります。
僕自身、親からプレーについて細かく言われた記憶がほとんどありません。だからこそ、自分で考える時間があったのだと、今になって思います。
よくある質問
Q. 毎日やらせた方がいいですか?
A. 理想は毎日ボールに触ることですが、「毎日やらせる」が親のノルマになると、たいてい親子ともに苦しくなります。僕は「短くても、本人が自分で始める日を増やす」ことを目標にする方をおすすめします。10分で終わる設計にしておくと、始めるハードルが下がります。
Q. 自主練を嫌がります。無理にでもやらせるべきですか?
A. 無理にやらせた自主練は、バスケを嫌いにさせるリスクの方が大きいです。嫌がる理由を見てあげてください。多いのは「何をやればいいか分からない」と「できないところを見られたくない」です。前者はテーマを一つ渡す、後者は一人でやれる場所と時間を作ってあげると、動き出すことがあります。
Q. 小学生のうちからシュートフォームを固めるべきですか?
A. 僕は、細かく固めすぎない方がいいと思っています。体が大きく変わる時期なので、フォームは直し続けるものだからです。それより、いい体勢で打つこと、届く距離から打つこと。この二つを守っていれば、フォームは体の成長と一緒に育っていきます。
まとめ
自主練で差がつくのは、メニューの中身より、「一つ持ち帰って、試して、振り返る」という循環があるかどうかです。メニューはシンプルでいい。テーマが一つあれば、20分の自主練が実験になり、実験は面白いから続きます。
そして、続いた量はいつか、試合で緊張した時の「これだけやったんだから」というお守りになります。今日の10分を、そんな未来への積み立てだと思って、見守ってあげてください。
最後にひとつだけ。自主練は、やらない日があっても失敗ではありません。やめてしまわない限り、続いています。完璧な毎日より、戻ってこられる習慣。僕が子どもたちに渡したいのは、そういう自主練です。
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