「体格差」に振り回されないために、
親が知っておきたい科学。
スクールの保護者面談で、僕が一番多く受ける相談がこれです。
言葉にはしなくても、試合会場で相手チームの大きい子を見て、胸がざわっとしたことがある方は多いのではないでしょうか。
その心配、実は"科学である程度答えが出ている"ことを知っていますか?
このガイドは、バスケ歴27年、スクールで約100名の子どもたちを見てきた僕が、「成長期の体格差」との正しい付き合い方を3つの話にまとめたものです。
読み終わる頃には、わが子の見え方が少し変わっているはずです。
まず、いちばん大事な事実から。
同じ学年には、最大で約1歳の差があります。
4月2日生まれと、翌年4月1日生まれ。同じ「小5」でも、ほぼ1年違う。
成長期の1年は、大人の1年とはまったく重みが違います。
そして、ジュニア年代の選抜チームには4〜6月生まれが多い——これは「相対年齢効果」と呼ばれる現象で、国内外のスポーツ研究で繰り返し確認されている統計的事実です。
ここで大事なのは、この差の正体です。
生まれ月の差は、才能の差ではありません。
「同じ学年」という区切りの中で、たまたま先に体が育っているだけです。
だから——大人になると、この差はほぼ消えます。
むしろ、体格で勝てない時期に工夫を重ねた"あとから来る子"が、上のカテゴリーで伸びていくケースは、現場では珍しくありません。
親がやるべきことは、たった一つ。
「今の体格差」を「実力差」と誤読しないこと。
わが子を見るものさしに、「学年」だけでなく「生まれ月」を一つ足してあげてください。
「うちの子、どこまで伸びますか?」もよく聞かれる質問です。
断定はできませんが、目安を知る方法はあります。
あくまで目安です。でも「まったくわからない」より「だいたいこの範囲」の方が、親は落ち着いて見守れます。
母子手帳や学校の身体測定の数字をつなげると、その子だけの「カーブ」が見えてきます。
見るべきは、平均より上か下か、ではありません。
自分のカーブに沿って伸びているか、です。
沿って伸びていれば、いま小柄でも心配はいりません。
逆に、カーブから急に外れた(伸びが止まった・体重が急に減った)ときだけ、小児科に相談してください。
身長がグッと伸びる時期(成長スパート)は、男の子で13歳前後、女の子で11歳前後。ただし個人差が2年以上あります。
「6年生なのに全然伸びない」は、多くの場合「まだスパートが来ていないだけ」です。
そして——ここが僕のいちばん伝えたいところですが、
身長は「予測」より「使い方」です。
世界のトップリーグにも日本代表にも、小柄なまま活躍する選手は必ずいます。
共通するのは、体格で勝てない時期に、体格以外の武器を貯めたことです。
では、スパートが来るまでの間、親は何をすればいいのか。
僕は「やることは3つだけ」とお伝えしています。
身長を伸ばすホルモン(成長ホルモン)が一番出るのは、眠っている間。特に寝入ってすぐの深い眠りです。
目安は、小学生で9時間以上、中高生で8時間以上。
練習を1時間増やすより、睡眠を1時間増やす方が、体は育ちます。
僕はアスリートフードマイスターの資格を取る中で学びましたが、成長期のスポーツで一番もったいないのは「練習後に何も食べないまま帰る」ことです。
練習直後の30分は、体が栄養を一番取り込みやすい時間。
「糖質(エネルギーの回復)+たんぱく質(体の材料)」を少しだけ。特別なサプリはいりません。夕食をしっかり食べられる範囲の"つなぎ"でOKです。
比べる相手は、隣の大きい子ではありません。昨日のわが子です。
そしてもう一つ、知っておいてほしいことがあります。
体格で勝てない時期は、
「技術の貯金」が一番貯まる時期です。
体の大きい子は、サイズで解決できてしまう。だから、ハンドリングや判断、ボールをもらう動きを磨く必要に迫られません。
小さい子は逆です。
工夫しないと勝負にならないから、毎日の練習が全部「貯金」になる。
うちのスクールにも、身長への劣等感で消極的になっていた中学生がいました。
でも「きみの武器はサイズじゃない」と強みに目を向け続けたら、プレーが変わり、目の色が変わりました。
体が追いつくのは、あとからでいい。
追いついたその日、貯金してきた子は一気に化けます。
「練習で帰りが遅くて、宿題が回らない」という相談もよく受けます。
僕の答えはシンプルで、両立の敵は時間不足より"エネルギー切れ"です。
練習後に何も食べずに帰ると、夕食前に電池が切れて、宿題どころではなくなる。②の補食は、実は勉強のためでもあります。
それでも回らない日は、夜に無理をさせず、朝に回す。
成長期の睡眠を削ってまで守る宿題はありません。
数字や科学は、子どもを追い込むためではなく、親が安心して見守るための道具です。
安心した親の顔が、子どもにとって一番の環境です。
体は、あとから来ます。
その日まで一緒に、貯金を続けていきましょう。
祐川良太
Resilient Hoops代表/バスケ歴27年
認定レジリエンスカウンセラー・アスリートフードマイスター
お子さんのタイプに合わせた「声かけ」も無料で配布しています。
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